Microsoft365活用・情報セキュリティメモ
取引先への資料送付を、メール添付からSharePointやOneDriveの共有リンクに切り替える会社が増えています。共有リンクは便利な反面、リンクの種類を意識せずに使うと「誰でも開けるリンク」が社外に残り続けます。共有ミスによる情報漏えいを防ぐために、管理者が最初に見直すべき設定と、中小企業に合った運用の決め方を整理します。
共有ミスは、社員の注意より「会社の設定」で防ぎます
Microsoft365では、SharePointとOneDriveの外部共有は最初から有効になっています。そのうえで、社員が「共有」ボタンを押したときにどの種類のリンクが最初に選ばれているか、社外向けリンクに有効期限があるかは、会社の管理者が決める設定です。導入時の状態のまま運用していると、社員一人ひとりの注意力に情報管理を任せることになります。
情報漏えいは、サイバー攻撃だけでなく「間違える」「持ち出される」といった日常の操作からも起きます。実際の事故事例は「情報は、サイバー攻撃を受けなくても漏えいする|2026年9・10月の事故事例から考える情報セキュリティ」で4つの類型に分けて紹介しています。共有リンクの設定見直しは、このうち「間違える」への最も手軽な対策です。
3種類の共有リンクの違いを押さえましょう
SharePointとOneDriveの共有リンクには3つの種類があります。違いは「サインインが必要か」と「リンクが転送されたときに誰が開けるか」です。
| リンクの種類 | 開くときのサインイン | 転送された場合 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| リンクを知っているすべてのユーザー | 不要 | 受け取った人は誰でも開ける | 公開済みのパンフレットなど、漏れても困らない資料 |
| 組織内のユーザー | 社内アカウントで必要 | 社外の人は開けない | 社内の資料共有全般 |
| 特定のユーザー | 指定した相手のみ(社外の人は確認コード等で本人確認) | 指定した相手以外は開けない | 見積書・契約書・図面など、取引先とのやり取り |
業務で扱う資料の大半は「組織内のユーザー」か「特定のユーザー」で足ります。「すべてのユーザー」のリンクは、必要な場面に限って使うものと位置付けるのが安全です。
管理者が見直すべき4つの設定
いずれもSharePoint管理センターの「ポリシー」>「共有」から変更でき、追加のライセンス費用はかかりません。
- 外部共有の範囲:社外との共有に「すべてのユーザー」を許可するか、「新規および既存のゲスト」までに絞るかを決める
- 既定のリンクの種類:共有ボタンを押したときに最初に選ばれるリンクを「組織内のユーザーのみ」または「特定のユーザー」にする
- 「すべてのユーザー」リンクの有効期限と権限:有効期限を必須にし、ファイルは「表示」のみに制限する
- ゲストアクセスの有効期限:取引先などのゲストのアクセス権が、一定日数で自動的に切れるようにする
あわせて、人事・経理・顧客の個人情報など社外に出してはいけない情報は、外部共有をオフにした専用のサイトに置く運用にすると、設定ミスがあっても社外には出ません。ファイル単位で印刷やダウンロードを止めたい場合は「SharePointでPDFの印刷・ダウンロードを禁止する設定方法」も参考にしてください。
中小企業にはこれがおすすめです
専任の情報システム担当者がいない会社では、細かいルールを増やすより「間違えても大事故にならない初期設定」にしておく方が確実です。社外とのやり取りの多さと、扱う情報の重さで次のように使い分けてください。価格は2026年10月時点のMicrosoft公式サイトの表示(年払い、1ユーザーあたり月額相当、税抜)です。
| 会社の状況 | おすすめの設定・プラン | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 社外とのファイル共有はほとんどない | 外部共有を「組織内のユーザーのみ」にし、社外と共有が必要なときだけ管理者がサイト単位で許可する | 0円(現在のBusiness Basic・Standardのまま) |
| 取引先と日常的にファイルをやり取りする | 外部共有は「新規および既存のゲスト」まで。既定のリンクは「特定のユーザー」、ゲストアクセスに有効期限を設定 | 0円(Business Basic ¥1,049/Business Standard ¥2,098のまま) |
| 顧客の個人情報や設計図面など、漏えい時の影響が大きい情報を扱う | 上記の設定に加え、Microsoft 365 Business Premiumで「社外秘」などのラベル付けとデータ損失防止(DLP)を使い、ファイル自体に保護をかける | Business Premium ¥3,298(Standardとの差額 ¥1,200) |
bitgateが多くの中小企業に推奨するのは、2つ目の「既定のリンクを『特定のユーザー』にし、ゲストアクセスに有効期限を付ける」構成です。追加費用がかからず、社員の操作は共有相手のメールアドレスを入力するだけで、取引先とのやり取りも止まりません。「すべてのユーザー」リンクを全面的に禁止すると現場が個人のファイル便サービスに流れやすいため、有効期限と表示のみの制限を付けたうえで残しておくのが現実的です。Business Premiumへの切り替えは、取引先からセキュリティ対策の説明を求められる業種や、個人情報を大量に扱う部署がある場合に検討すれば十分です。
まとめ:共有設定見直しのチェックリスト
- 現状確認:SharePoint管理センターで、外部共有の範囲と既定のリンクの種類が導入時のままになっていないか確認する
- 既定リンクの変更:共有ボタンの初期値を「特定のユーザー」または「組織内のユーザーのみ」にする
- 期限の設定:「すべてのユーザー」リンクとゲストアクセスに有効期限を付ける
- 置き場所の分離:社外秘の情報は、外部共有をオフにしたサイトにまとめる
- 社員への周知:3種類のリンクの違いを、上の表を使って一度説明しておく
現在の共有設定の確認、取引先とのやり取りに合わせた既定リンク・有効期限の設計、社外秘サイトの切り分け、社員向けの説明資料づくりまで、初回1時間無料でご支援します。
