その話、AIに覚えさせて大丈夫?「一時チャット

その話、AIに覚えさせて大丈夫?「一時チャット」という使い方

Copilot・AI活用メモ

ChatGPT、Gemini、Claudeを毎日のように使うようになると、仕事の相談や文章の下書き、ときにはちょっとした個人的な相談まで、AIにいろいろなことを書くようになります。そんなとき、「この話は、AIに覚えてほしくないな」と思ったことはありませんか? 知っておきたいのが「一時チャット」という使い方です。

AIが「覚える」には、いくつかの意味がある

生成AIの「覚える」という言葉には、実は違う意味が混ざっています。

  • 過去のチャットが履歴として残る
  • 過去の会話が、今後の回答に反映される
  • 自分の好みなどを「メモリ」として記憶する
  • 入力した内容がAIの改善(学習)に使われる
  • サービス提供会社の側で、データが一定期間保管される

これらはすべて別の話です。「履歴から消したから、データがその瞬間にどこからも消える」とは限りませんし、「AIに覚えさせない設定」と「データがまったく保管されない」ことも同じではありません。

主なAIの「一時チャット」

普段のチャットと切り離して、その場だけAIと話したい。そのための仕組みが、ChatGPT・Gemini・Claudeにはそれぞれ用意されています。名前や細かな仕様は違いますが、考え方はよく似ています。

サービス 機能の名前 履歴・メモリ 提供会社での保管
ChatGPT Temporary Chat 履歴に残らず、メモリも作られない。一時チャットのままなら学習にも使われない 安全確認のため、最大30日間保管されることがある
Gemini Temporary Chat 最近のチャットやアクティビティに残らず、パーソナライズや学習にも使われない 回答や評価の処理のため、最大72時間保管される
Claude Incognito chats 履歴に残らず、メモリにも反映されない 法人向けプランでは、組織の保管ルールに従う

※2026年10月時点の各社の公開情報にもとづきます。仕様は変わることがあるため、ご利用中のサービスの最新情報をご確認ください。

どのサービスでも、一時チャットは「この会話を、普段のAIとの付き合いに持ち込みたくない」ときの選択肢です。そして、どのサービスでも「提供会社の側でしばらく保管されることがある」点は共通しています。

どんなときに使い分ける?

たとえば、いつも仕事でAIを使っている人が、休みの日に「今度京都へ行くので、2泊3日のプランを考えて」と聞きたくなったとします。その場でちょっと聞きたいだけなら、普段の仕事のチャットと混ぜる必要はありません。こんなときは一時チャットが便利です。

反対に、「会社のホームページの記事を一緒に考えて」のように、これから何度も続けて相談するテーマなら、これまでのやり取りや前提を踏まえてもらえる通常のチャットの方が便利です。

一時チャット=安全、通常チャット=危険、ではありません。
「今後もAIに文脈として使ってほしい会話か?」で使い分けると分かりやすくなります。

「一時チャットなら機密情報を入れてよい」ではない

仕事でAIを使うなら、ここが一番大切です。一時チャットは、会社の機密情報や個人情報を自由に入力するための機能ではありません。先ほどの表のとおり、一時チャットでも提供会社の側では一定期間保管されることがあります。

次のような情報は、「一時チャットだから大丈夫」と考えずに扱いを決めておく必要があります。

  • お客様の個人情報
  • パスワードや認証情報
  • 公開前の経営情報
  • 秘密保持契約(NDA)の対象となる情報
  • 社内のルールで外部のAIへの入力を禁止している情報

一時チャットかどうかより先に、会社としてのAIの使い方のルールと、契約しているAIサービスのデータの扱いを確認することが大切です。

チャットを始める前に、3つを分けて考える

1. 履歴に残る? あとから自分でそのチャットを見返せるか
2. AIが覚える? その会話が、今後の回答やパーソナライズに反映されるか
3. データはどう扱われる? 入力した内容を、提供会社がどのくらいの期間、何のために保管・利用するか

特に仕事では、「履歴に出てこない=データがどこにも残っていない」と思い込まないことが大切です。

中小企業にはこの使い分けがおすすめです

bitgateでは、個人で使うAIと、仕事で使うAIを分けることをおすすめしています。仕事で使うなら、会社のアカウントで管理できるAIを基本にするのが現実的です。

場面 おすすめ
続けて相談する仕事のテーマ 会社のアカウントで使うAIの通常チャット
その場だけの調べもの・私用の相談 一時チャット
パスワード、ルールで禁止された情報 そもそも入力しない

すでにMicrosoft 365(Business Basic/Standard/Premiumなど)をお使いの会社なら、会社のアカウントでサインインすると、Microsoft Copilot Chat(旧 Microsoft 365 Copilot Chat)を追加費用なしで使えます。会社のアカウントで使う場合は「エンタープライズデータ保護」の対象となり、入力した内容や回答はAIの基盤モデルの学習に使われません。

まずは、①仕事では会社のアカウントのAIを使う、②入力してはいけない情報を決めて社内で共有する、の2つから始めるのがおすすめです。

※Copilot Chatの対象プランや機能は変わることがあります。2026年10月時点のMicrosoftの公開情報にもとづきます。

まとめ:チャットを始める前に「残したいか」を考える

  • AIの「覚える」には、履歴・メモリ・データの保管という別々の意味がある
  • 一時チャットは履歴やメモリから切り離すための機能で、提供会社での保管がゼロになるわけではない
  • 使い分けの基準は「今後もAIに文脈として使ってほしいか」
  • 仕事では会社のアカウントで管理できるAIと、入力しない情報のルールをセットで考える

通常チャット、一時チャット、そして「そもそも入力しない」。この3つを使い分けるだけでも、AIとの付き合い方は変わってきます。お使いのAIで、一時チャットがどこにあるか一度確認してみてください。

会社でのAIの使い方、ルールづくりから相談しませんか:
bitgateでは、Microsoft 365とCopilotの活用から、AIの利用ルールを含む情報セキュリティ対策まで、中小企業の実情に合わせてご支援します。初回1時間の相談は無料です。

無料相談はこちら 情報セキュリティ対策支援の詳細