Copilot Coworkを使ってみよう

Microsoft 365 Copilot 活用レポート

Microsoft 365 Copilotに新たに加わった「Copilot Cowork」。実際に設定・検証した過程を踏まえ、Claudeが使われている理由からWork IQの意味、できること、費用と設定方法までを整理してご紹介します。

CopilotにClaudeが増えている件

Copilot Coworkを使い始めて最初に驚くのが、裏側で動いているAIモデルにAnthropic社の「Claude」シリーズ(Opus・Sonnetなど)が採用されている点です。これまでMicrosoft 365 Copilotといえば、OpenAIのモデルを中心に構成されているイメージが強かった方も多いのではないでしょうか。

Coworkでは、タスクの内容に応じてClaude Opus・Claude Sonnetをはじめとした複数のAIモデルから最適なものを自動的に選択する「マルチモデル設計」が採用されています。単一のモデルに依存するのではなく、処理の複雑さやコストに応じてモデルを使い分けることで、精度とコストのバランスを取る狙いがあるようです。

MicrosoftがAnthropic社のClaudeモデルをMicrosoft 365 Copilotに初めて追加すると発表したのは2025年9月24日のことです。Microsoft公式ブログにて、Copilot担当のCharles Lamanna氏(Executive Vice President, Copilot, Agents, and Platform)が「業界全体から最高のAIイノベーションをCopilotにもたらす」ことを目的に、まずは高度な調査エージェント「Researcher」と、業務エージェントを構築できる「Copilot Studio」において、Claude Sonnet 4・Claude Opus 4.1を選択肢として追加したことを明らかにしました。これは、これまでOpenAIのモデルを中心に据えてきたMicrosoftの戦略における大きな転換点として、当時大きな話題となりました。

その後もMicrosoftは段階的にClaudeの対応範囲を拡大しています。2026年5月にはClaude Opus 4.8がCopilot Cowork(当時はFrontierプログラム提供)に追加され、Excel・PowerPoint・Copilot Studioにも展開。さらに2026年7月には最新モデルのClaude Opus 5が、Word・Excel・PowerPoint・Copilot Chat・Copilot Cowork・Copilot Studioの各所に順次ロールアウトされています。Copilot Coworkについても、2026年6月16日の一般提供(GA)開始当初からClaudeが主要なモデル選択肢の1つとして組み込まれていました。

ここで気になるのが「Anthropic社のモデルを使うことで、社内データが外部に流出しないのか」という点だと思います。この点についてMicrosoftは、Anthropicのモデルを「サブプロセッサー」として扱い、Microsoft 365の信頼境界内で安全かつ責任ある形で利用できるようにしていると説明しています。つまり、利用しているAIモデルの提供元がAnthropicであっても、データの取り扱いやコンプライアンス体制はMicrosoft 365のセキュリティ基準に準拠する設計になっているということです。

なお、Anthropicモデルの利用については地域制限があり、Anthropicに対応していない国・地域(EU/EFTA圏や英国など)では既定でオフになっている点は留意しておく必要があります。

Work IQが他のAIと違ってビジネス向けである意味

Coworkの中核を支えているのが「Work IQ」という仕組みです。これは単に賢いAIモデルを使っているというだけでなく、自社が実際に使っているシステムの文脈(コンテキスト)に基づいて作業するネイティブな仕組みを指します。

一般的な生成AIチャットは、ユーザーが質問や指示を入力して初めてその内容に答える「受け身型」のツールです。一方Work IQは、Teamsのチャット、Outlookのメール、SharePointやOneDriveのファイル、会議情報といった社内に存在する情報を横断的に参照し、それらの文脈を踏まえたうえで作業を組み立てます。つまり「何を聞かれたか」だけでなく「自社がどんな業務フローで動いているか」を理解した状態で動作するのが特徴です。

この設計がビジネス向けである理由は大きく2つあります。1つは、社内の実データを参照する以上、エンタープライズ級のセキュリティとコンプライアンスがMicrosoft 365の信頼境界内で担保されている必要があるという点。もう1つは、複数のツール・アプリをまたいだ多段階の作業を、既存のポリシーや統制方針に沿って実行できる必要があるという点です。個人向けの汎用AIとは異なり、組織のガバナンスを踏まえた設計になっている点がWork IQの本質だと言えます。

Coworkで何ができるか

Copilot Coworkは、これまでのCopilot Chat(質問に答えるAI)とは位置づけが異なります。指示を出すだけで、複数のステップにまたがる業務を自律的に、バックグラウンドで最後まで実行してくれる「エージェント型」の仕組みです。

比較項目 Copilot Chat Copilot Cowork
位置づけ 下書き・要約・質疑応答のための常時利用型AI 複数ステップの作業を完遂するエージェント型AI
得意なこと 速く・短く・単一タスクの処理 複数アプリをまたいだ複数ステップのワークフロー
所要時間 数秒〜数分 数分〜数時間(自律実行)
使いどころ 日次キャッチアップ、進捗確認、Q&A、文章作成 受信トレイ・予定の整理、プロジェクト立ち上げ、会議準備

Coworkに任せられる代表的な作業

具体的にCoworkに任せられる作業には、以下のようなものがあります。

  • メールの送受信:Outlook経由でメッセージの下書き、返信、転送、送信を行う
  • 会議のスケジュール設定:カレンダーイベントの作成、出席者の追加、日程調整
  • ドキュメントの作成:Word文書、Excelスプレッドシート、PowerPointプレゼンテーション、PDFの新規作成・編集
  • Teamsでの投稿:チャネルやチャットへのメッセージ送信
  • 組織全体の検索:社内のファイル・メール・会議情報を横断的に調査し、包括的なレポートにまとめる
  • ファイルの管理:OneDriveやSharePointのフォルダ作成・整理
  • ブリーフィングとサマリーの準備:毎日のブリーフィングやミーティングのインテリジェンスをまとめる

注目機能:ローカルブラウザーの使用(プレビュー提供中)

Microsoft Edge上でCoworkが操作を代行|API連携のないWebサイトにも対応

Coworkが必要と判断した場合、利用者のMicrosoft Edge上で非表示のタブを開き、既存のログインセッションを使ってWebサイト上の操作を代行してくれます。たとえばAmazonや楽天、Yahoo!ショッピングといった、API連携のないECモールの管理画面から売上データをダウンロードするような作業も、条件次第でCoworkに任せられる可能性があります。ただし、ログインなど機密性の高い操作は、Coworkが資格情報を代理入力するのではなく、その都度利用者本人にブラウザ上で入力してもらう設計になっており、セキュリティ面には一定の配慮がされています。

  • 組み込みスキルは13種類(Word・Excel・PowerPoint・PDF・Email・Scheduling・Calendar Managementなど)
  • 自社独自の「カスタムスキル」を最大50個まで登録可能
  • 一度うまく動いた操作は「この一連の作業をスキルにして」と伝えるだけでスキル化できる

Coworkを使うための費用と設定方法

Copilot Coworkの費用体系は、既存のMicrosoft 365 Copilotライセンス費用に加えて「Copilot Credits」という従量課金が上乗せされる二重構造になっている点に注意が必要です。

項目 課金方式 備考
Microsoft 365 Copilotライセンス ユーザーあたりの月額定額 既存のCopilot契約に含まれる部分。金額は契約内容により異なるため、最新の料金は販売代理店等でご確認ください
Copilot Credits(Cowork利用分) 従量課金(PayGoで1クレジット=0.01ドル) タスクの複雑さ、利用するAIモデル、実行時間、参照するコンテキスト量、ツール呼び出し回数などによって消費量が変動

タスクの重さによる消費量の目安は以下の通りです。実際の消費量はタスク内容によって前後します。

  • 軽量タスク(短いメール下書きなど):100〜300クレジット程度
  • 中量タスク(複数ファイルの横断分析、会議準備など):300〜700クレジット程度
  • 重量タスク(大量データの集約レポート、複数ツール連携、ブラウザ操作を伴う作業など):700クレジット超

クレジットは都度払い(Pay-As-You-Go)のほか、1年分をまとめて事前購入する「P3プラン」を選ぶことで割引率が適用される仕組みもあります。導入初期はPay-As-You-Goで実際の消費傾向を数十日程度確認したうえで、P3プランへの切り替えを検討するのが現実的です。

設定の流れ

  • Azureサブスクリプションの準備:Copilot Creditsの従量課金は、Microsoft 365のライセンス契約とは別に、Azureサブスクリプションとの連携が前提となります。自社にAzureサブスクリプションがない場合は新規作成が必要です。また、設定を行うアカウントには、そのサブスクリプションに対する「所有者(Owner)」または「共同作成者(Contributor)」の権限が必要です。この権限が不足していると「No Azure subscriptions could be confirmed for your account.」というエラーが表示されます。
  • Microsoft 365管理センターでの請求ポリシー設定:[Copilot]-[コスト管理]から、対象のAzureサブスクリプションとリソースグループを紐づけた請求ポリシーを作成します。
  • 支出上限の設定:「このポリシーの月間使用制限」で、組織全体の上限を金額ではなく「クレジット数」で指定します(例:2,000クレジット=約20ドル)。あわせて「ユーザーの月単位の使用制限」を設定しておくと、特定の1人が全クレジットを使い切ってしまう事態を防げます。上限に達すると、単なる通知だけでなく実際にCoworkの新規タスク実行が停止する仕様のため、余裕を持った設定と、消費傾向を見ながらの調整が重要です。
  • ローカルブラウザー機能を使う場合の追加設定:テナント管理者側でCoworkの「Microsoft Edgeブラウザーの使用を許可する」を有効化し、利用者側もEdgeの設定で「Coworkが自分の代わりにアクションを実行することを許可する」をオンにする必要があります。

Azureサブスクリプションとの連携という工程は、Microsoft 365の管理だけを行ってきた担当者にとってはやや不慣れな作業になりがちです。エラーが解消しない場合は、正しいディレクトリ(テナント)が選択されているか、Azure Policyによってサブスクリプションの操作が制限されていないか、といった点も確認する必要があります。

まとめ

  • Copilot Coworkは裏側でAnthropic社のClaudeモデルを採用したマルチモデル設計になっている(2025年9月24日に初導入)
  • Work IQにより、社内の実データを文脈として理解したうえで作業を進める
  • Copilot Chatとは異なり、複数ステップの業務を自律的に完遂するエージェント型AI
  • ローカルブラウザー機能により、API連携のないWebサイトの操作も条件次第で代行可能
  • ライセンス費用に加えてCopilot Creditsの従量課金が必要で、Azureサブスクリプションとの連携が前提となる
bitgateへのご相談はこちら:
「Coworkを試してみたいが、費用や設定が不安」「そもそも自社の業務のどこにCoworkが使えるのか整理したい」という中小企業様は、ぜひbitgateにご相談ください。初回1時間の相談は無料です。

無料相談はこちら
Microsoft365でお困りの方は