業務改善とPDCAの微妙な関係性

企業にとって生産性のムダをなくし、業務効率を改善させることは大きな課題です。

トヨタ自動車を象徴する言葉「カイゼン」は、海外でも「KAIZEN」知呼ばれ製造業で重要とされている取り組みです。

今ではトヨタ式カイゼンを取り入れる企業は製造業に見ならず、多くの業界で取り組まれており、企業規模に関係なく経営者なら知っているキーワードの一つでしょう。

昔ながらのQCをベースに改善活動に取り組んでいる企業も多いと思います。

 

品質管理を追求したPDCAによる改善活動の盲点

 

生産性と同じく品質管理も課題の一つではないでしょうか?

品質向上は差別化や独自性を高めることで競争力を強化し売上増加に寄与します。

品質管理における改善活動の多くは、品質事故の予防保全が一般的です。

「○○のトラブルは、事前に□□の確認が漏れていたからなので、今後は見積作成後の承認において□□のチェックを義務付ける…」といった対策が施されることになります。

このような品質管理におけるチェックプロセス追加は、改善活動のPDCAとして一般的に行われるため、事故やトラブルが発生するたびに追加され、いつの間にか「チェックプロセスだらけ」になってしまうことがあります。

正しく改善活動のPDCAをしっかり回す企業や部門ほど、「チェックプロセスだらけ」になってしまい、「生産性が低下」してしまうことがあります。

品質管理<生産性

良かれと思って推進している活動が、業務プロセス全体の手数を増やし、複雑にしてしまう恐れがあるのです。

管理業務重視の担当役員や部門長の在籍期間が長くなると、この状態に陥りやすくなります。

 

品質管理改善で気を付けること

トヨタのカイゼン活動の重要な要素に「スムーズな業務を目指す」というのがあります。

先に述べたトラブルの予防保全のためにチェックプロセスを増やすことは大事ではありますが、そもそもチェックしなければならない状況を生んでいる原因まで追究し、チェックプロセスを増やさずに改善できることまで検討するべきです。

もしチェックプロセスを増やすしか手立てがない場合は、その業務全体のプロセスからトレードオフできるプロセスを見つけて、これまでと同じ工数かそれ以下の工数で業務量を増やさないように見直すことが重要です。

 

業務プロセスの責任者である管理職のみなさんには、ぜひ「スムーズは業務を目指す」を念頭に改善活動を推進していただき、総労働時間削減で働き方改革に取り組んでいただければと思います。