Microsoft365のExchange Onlineを素の状態で立ち上げると、Outlookの宛先表からメンバーを選択する画面は組織やアカウントの種別ごとの区分けなく、全員がリストされてしまうので非常に見ずらい状態です。
Microsoft365をシステムベンダーに依頼して立ち上げてもらうときは、階層型アドレス帳を設定してもらうことをお勧めします。
このページでは、自力でMicrosoft365を立ち上げた情報システム担当者またはそれに近い役割の方向けに、階層型アドレス帳の設定を紹介します。
設定手順は日々変わる可能性があるので、2024年11月時点の設定であることをご容赦ください。
【階層型アドレス帳が使える条件】
階層型アドレス帳はExchange Onlineに設定し、Outlookアプリから使用することを前提としています。
よってMicrosoft365 Business standard または Business Premiumを契約しExchange Onlineを使用している必要があります。
階層型アドレス帳の設定手順(目次)
- 組織構成の設計
- メールが有効なセキュリティグループの作成
- Exchange Onlineで階層型アドレス帳を設定
組織構成の設計
階層型アドレス帳はその名の通り階層型に組織を構成するので、事前に組織図などから設定する組織構造を準備してください。
このページでは下記の組織構成を階層型で作成します。
第一階層(名前) | 第二階層(名前) | 所有者 | メールアドレス (@マークより左) | メンバー |
bitgate株式会社 (Root) | 高田剛 | bghq | 高田剛 | |
管理部 | 高田剛 | bgmanege | 鈴木太郎 | |
総務課 | 高田剛 | bgsomu | 佐藤清 山下敏子 | |
営業部 | 高田剛 | bgsales | 田中次郎 | |
静岡営業課 | 高田剛 | bgszsales | 佐々木一 竹内結子 |
メールが有効なセキュリティグループの作成
(1)Microsoft365管理センターにログインします。
(2)続いて、Exchange admin centerを開きます。
(3)画面左メニューの「グループ」をクリックし、画面右の「メールが有効なセキュリティ」をクリックし、「グループの追加」をクリックします。
(4)[ グループの種類の選択 ] セクション で、[メールが有効なセキュリティ ] を選択し、[ 次へ] をクリックします。
(5)[基本設定] セクションで詳細情報を入力し、[次へ] をクリックします。
(6)[所有者の割り当て] セクションで [+ 所有者の割り当て] をクリックし、リストからグループの所有者を選択して、[次へ] をクリックします。
(7)[メンバーの追加] で [+ メンバーの追加] をクリックし、リストからグループ メンバーを選択して、[次へ] をクリックします。
(8)[ 設定の編集] セクションで、グループのメール アドレスを入力し、[ 次へ] をクリックします。
(9)[ 確認とグループの追加の完了] セクションで、[ グループを作成] をクリックします。
(10)[ 別のグループを追加する ] をクリックし、(4)以降の操作を繰り返してすべての組織を登録します。
Microsoft Teams をグループに追加する: これを選択して、グループのチームを作成します。
[グループの追加の確認と完了] セクションで、すべての詳細情報を確認し、[グループの作成] をクリックして [閉じる] をクリックします。
Exchange Onlineで階層型アドレス帳を設定
ここからの作業はPowerShellの操作です。
PowerShellはコマンドベースの操作のため、苦手な方にはおすすめできないので、ハードルが高いなと感じたらシステムベンダーへ依頼するようにしてください。
(1)Windows PowerShell を管理者権限で起動します。
(2)PowerShellから初めてExchange Onlineにアクセスする時は、下記のコマンドを入力し、Exchange Online PowerShell モジュールインストールします。
Set-ExecutionPolicy RemoteSigned |
問い合わせが表示されたら[Y]と入力し[ENTER]キーを押下します。
Install-Module -Name ExchangeOnlineManagement -RequiredVersion 3.4.0 |
問い合わせが表示されたら[Y]と入力し[ENTER]キーを押下します。
(3)下記のコマンドを入力し、Exchange Online PowerShell モジュールを読み込みます。
Import-Module ExchangeOnlineManagement |
(4)下記のコマンドを入力し、Exchange Onlineに接続します。ログイン画面が表示されたらパスワードを入力してください。
Connect-ExchangeOnline -UserPrincipalName <UPN> |
※<UPN>はExchange Onlineの管理者権限のメールアドレスです。
(5)下記の例を参考に階層型アドレス帳 のルートを指定します。
Set-OrganizationConfig -HierarchicalAddressBookRoot “bghq” Set-Group -Identity “bghq” -IsHierarchicalGroup $true |
このコマンドで階層型アドレス帳の一番上(Root)が表示されます。
(6)下記の例を参考に第一階層の 組織を追加します。
Set-Group -Identity “bgmanage” -IsHierarchicalGroup $true Set-Group -Identity “bgsales” -IsHierarchicalGroup $true |
(7)下記の例を参考に第一階層の 組織をRoot配下に追加します。
Update-DistributionGroupMember -Identity “bghq” -Members “bgmanage”,”bgsales” |
(8)続いて下記の例を参考に第二階層の 組織をRoot配下に追加します。
Set-Group -Identity “bgsomu” -IsHierarchicalGroup $true Set-Group -Identity “bgszsales” -IsHierarchicalGroup $true |
(9)下記の例を参考に(7)で追加した第二階層の 組織を第一階層の組織に追加します。
Update-DistributionGroupMember -Identity “bgmanage” -Members “bgsomu” Update-DistributionGroupMember -Identity “bgsales” -Members “bgszsales” |
コマンドを入力すると
”この操作を実行しますか?”と問い合わせが表示されるので[Y]と入力し[Enter]キーを押下してください。
(10)Outlookを起動して宛先を表示し、階層型アドレス帳が表示されることを確認します。
Outlookno宛先に「組織」が表示されない場合
階層型アドレス帳はExchangeキャッシュモードが有効になっている場合に影響を受けることがあり、Outlookの宛先を表示したときに「組織」タブが表示されないことがあります。
対応方法:
- Outlookを開き、「ファイル」 > 「アカウント設定」 > 「アカウント設定」を表示する。
- メールアカウントを選択し、「変更」をクリック。
「Exchangeキャッシュモードを使用する」のチェックを外してOutlookを再起動する。 - 階層型アドレス帳が正しく表示されるか確認。